青汁と科学農薬

1950年から1965年頃、アメリカやヨーロッパでたくさんの赤ちゃんが「ブルーベビー症候群」になりました。
裏ごししたホウレン草を赤ちゃんに与えたところ、30分もしないうちに赤ちゃんは真っ青になり亡くなってしまったのです。
ホウレン草の裏ごしを与えた赤ちゃんの278人に中毒症状が出て、39人の赤ちゃんが死亡したという恐ろしい事件でした。
原因はホウレン草に含まれていた硝酸塩(硝酸態窒素)が、胃酸の弱い乳児の体内で亜硝酸塩に変化し、その亜硝酸塩が血液中のヘモグロビンと結びつき、酸素が運べなくなったために、酸欠になったそうです。
WHOの報告によりますと、第二次世界大戦後から1986年の間に約2000人の中毒事件があり、うち160人の乳幼児が亡くなっています。

青汁にも含まれる硝酸塩(硝酸態窒素)とは?

なぜそのような悲惨な事件が起こったのでしょうか・
そもそも化学肥料の窒素は植物の成長に欠かせないもので、植物は「窒素」を「硝酸塩(硝酸態窒素)」という形でないと吸収できないのです。
植物は硝酸塩を植物の体内で「アミノ酸」や「タンパク質」に合成しています。
ところが窒素科学肥料が多すぎた場合や、日光不足で吸収した硝酸塩を消化できないと、硝酸塩は植物の葉などにどんどん蓄積していくわけです。
それで硝酸塩の濃度の高い葉物野菜ができてしまうのです。

生後3~4カ月未満の乳児に青汁は危険!

大人は硝酸塩の多い葉物野菜を食べたとしても、健康被害は無いとWHO(世界保健機構)は発表しています。
しかし生後3~4カ月未満の乳児の場合は、その腸内細菌により、硝酸塩を亜硝酸塩に変化させてしまい、亜硝酸塩が血液中のヘモグロビンと結びつき、酸素が運べません。
それが全身の酸欠となり、チアノーゼを起こして死亡してしまう「ブルーベビー症候群」という中毒症状でした。
また、ブルーベビー症候群により死者が多く出た事例は、ホウレン草の生育環境の水質汚染も大きな原因と言われています。
硝酸態窒素(硝酸塩)自体に害は無いのですが、それが還元菌により亜硝酸塩に変化させられてしまうことに危険性があるわけです。
硝酸還元菌には大腸菌などがあげられます。
そもそもホウレン草などの生育環境が大腸菌をはじめとする、硝酸還元菌に汚染された水質にまみれていたことが原因ともいわれています。

大手青汁メーカーは、原料の硝酸塩の減少に努力している

野菜の生育環境に科学肥料を多く使いすぎないことも大切ですが、化学肥料を使わないたい肥による有機栽培にも硝酸態窒素過多のリスクはあります。
家畜の糞尿をたい肥にしている場合も環境汚染のリスクがあります。
硝酸態窒素の蓄積の多い牧草を食べて、排泄した糞尿にはたくさんの硝酸態窒素(硝酸塩)が含まれています。
それが野菜にも吸収され、葉に硝酸態窒素が堆積していきます。
日本でブルーベビー症候群のような中毒症状が出たケースは、井戸水が原因でした。
化学肥料や家畜の糞尿が雨水で溶けだし、土壌汚染して井戸水にも硝酸態窒素が基準値を超えて含まれるケースがありました。
名水と言われる天然水でも汚染されている場合がありました。
反芻動物である牛などに被害が出ていました。
反芻動物の胃の中も硝酸塩が亜硝酸塩に変わりやすい仕組みのためでした。
日本では水道水の汚染は聞きませんが、海外では水道水にまで硝酸態窒素の汚染が広がっている場合もあります。
硝酸態窒素は浄水フィルターでは防御できないのです。
日本の青汁の大手メーカーの場合は、硝酸態窒素が多い葉物は、青汁にせず除外しているので、青汁の硝酸態窒素の残留量は、スーパーの生緑黄野菜よりもずっと少ないですから、亜硝酸に変化して健康被害を受けるリスクはなく安全だと言えるでしょう。

産地やメーカーの検査設備の有無も確かめよう!

原材料の産地もよくわからない場合や、検査基準を設けていないメーカーの青汁は3カ月未満の乳児に与えるのは止めておいたほうが良いでしょう。
生の葉物をそのまま食べるより、ゆでてアクを抜いたほうが硝酸態窒素のリスクは少なくなります。
検査設備のある大手青汁メーカーの青汁は、スーパーの緑黄野菜より安全であるといえるでしょう。
それでも胃腸の発達していない乳児には与えないほうが良いです。
離乳食は5カ月過ぎからと言われていますがそのくらいになると、硝酸還元菌のリスクも低くなり重篤なことになることはまずないでしょう。
発達は個人差がありますから乳児に対しては慎重であるべきだと思います。
幼児期になると青汁は、またとない健康効果の高い栄養素も豊富な食品ですから、飲みやすい食べやすい方法で青汁を食生活の一つに取り入れることは幼児の成長や健康にとても役立ちます。

小さなお子さんには、特に信頼できるメーカーの青汁を、選ぶことが大切ですね。
安心安全な青汁を食生活に取り入れることにより、ご家族そろって安心な健康生活を送っていただけたらと思います。

RELATEDおすすめの関連記事
トップに戻るTOPへ戻る